アナログとデジタルの隘路に

出版業界(の片隅)の人です。主に(紙の)書籍と電子書籍、および興味のあるデジタル周りについて書きます。twitterアカウント @haru_taroh

【読んだ】「ためになる」情報が満載!~電子出版専門誌『On Deck 』

EPUBについての知識はすべて『On Deck』から学んだ~」 と言っても過言ではないかもしれない。

管理人は業界の人間として、また一人の本好きとして、電子書籍については並々ならぬ興味を持っています。

この業界はまさに今黎明期をむかえ、標準規格やデバイス、プラットフォームなど様々なフェイズでカオス状態に陥っています。

つい最近も、その混乱状況について、ちきりんさん(@insidechikirin)もブログで言及していましたね。

Chikirinの日記 紛争地域のその先 (電子書籍市場)

このような混沌とした状況下で最新かつ重要な情報をキャッチアップするのは大変な作業と言えます。

そんな中、管理人が最も重宝する情報源が、以下紹介するインプレスR&D発行の『On Deck』(オンデッキ)。

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発行形態は、同タイトルで週刊(『On Deck WEEKLY』)と月刊(『On Deck MONTHLY』)が存在するのですが、特に前者が大変優れモノなのです。

以下『On Deck WEEKLY』の特筆すべき点。

※価格

無料!

配信申し込みには月1回程度送られるアンケート回答が必須ですが、簡単に済みますしフィードバックされると考えると全然苦にはなりません。

※分量とクオリティ

試しに最新号(1/19号)の目次をピックアップしてみます。

*ニュース

大日本印刷HTML5を用いたデジタル雑誌制作支援サービスを開始

②eBookJapanが通期業績予想を上方修正

③5分でわかる電子書籍関連ニュース

④AppStore週間ブックランキング

*レポート

①デジタルメディア消費のプラットフォーム に向かう”テレビ”と”モバイル”

②アマゾンのプリントオンデマンドを使ってOnDeckの販売を開始

*特集

・変革前夜、日本の電子書籍流通の今

*インタビュー

・株式会社パピレス 代表取締役 天谷幹夫氏

*レビュー

EPUB3対応ビューワを比較する

*連載

①電子出版ビジネス批評

EPUB制作環境「FUSEe β」で始めるEPUB3入門

(実際の掲載順とは異なる)

ゆうに新書1冊分を超える分量は驚きの一言。これだけで、最新の情報がキャッチアップできます。また、電子媒体の特性をいかして、ハイパーリンクにより関連情報の取得にも大変便利です。

※ファイル形式・・・EPUB準拠(kindle版もあり)

EPUB形式で配信してくれるのは大変ありがたいですね。そもそも、この『On Deck』自体が、EPUBに対してフォーカスする雑誌なので、当然と言えば当然なのですが。

それにしても、EPUBファイルというのはPDF形式と比べても非常に読みやすく、アーカイブも簡単。デジタル情報ながら、本棚にたまっていくのを見るのは、やはり嬉しいものです。

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(関連の過去エントリ: お気に入りのメルマガをiOs上で電子書籍としてアーカイブする方法

 

ちなみに今回のエントリに際し、月刊版『On Deck MONTHLY』も購読してみました。

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こちらはPDF方式で700円と有料。

WEEKLYのクオリティが高すぎて、「有料&PDF&独自記事なし」というMONTHLY版は少々見劣りするというのが正直なところ。

ただし、MONTHLY版の発行については、「PODによる紙媒体の販売」「EPUB形式から印刷可能なPDF方式への変換」という実験的な意味合いも強いと思われます。今後、価格を下げた上で独自の付加価値をつければ、それなりに需要はあるかも、という印象も持ちました。

いずれにせよ『On Deck』がもたらしてくれる最新かつ有益な情報は、電子出版業界のこの混沌とした状況下においては、管理人にとっての重要な羅針盤となってくれることと確信します。

業界関係者はもちろん、電子書籍に興味のある一般読者にも、一読されることを強くおすすめします!