【読んだ】社会人野球の悲哀と爽快な逆転劇を描いた『ルーズヴェルト・ゲーム』
拙ブログでは初めてとなる小説(ストーリー性のあるフィクション)の紹介。
自分の読書傾向を顧みると、最近はめっきり小説や文芸を読む機会が減りました。
その最大の原因は、やはり「仕事上で読まなければならない本を読むことで精いっぱい」ということになるのでしょう。また「ネットの情報を吸収することに時間を割かざるをえない」というのも紛れもない事実です。
小学校低学年くらいから20年間に渡って、寝ても覚めても本、それもほとんどが小説を手放さない生活を送っていたことを考えると、ある意味感慨深い今の状況。
そんな折なぜこの小説を読むことになったのか…
それは、小五になる息子が自発的に買った上で「めっちゃ面白かったよ」と勧めてきたからなのです。
ジュブナイル小説を卒業し、「面白い本」を自分で渉猟し始めていたことには薄々気づいていたのですが、こんなに早く息子が選んで購入した書籍に心を動かされるとは…
父親から息子に「これを読んどけ」と勧めることの方が、まだまだ圧倒的に多いのでしょうが、「今後は息子が選んだ書籍を借りて読むことにより、何か新しい発見や感動を得ていくことも増えるのだろうな」(遠い目)と親バカモード全開になってしまいましたw。
というわけで、この『ルーズヴェルト・ゲーム』は自分の読書人生的に大きな意味を持つ一冊になったというわけです。
さて、内容のご紹介。
物語は中堅企業「青島製作所」の社会人野球部を舞台に、会社の経営危機への対応と弱体化した野球部の復活が交錯しながら進んでいきます。
これ以上はネタばれしてもなんなので、個人的に関心を持った2点だけ簡単に触れます。
まずは、ストーリーを牽引する道具立ての一つとしてセイバーメトリクスが顔を出す点。個人的にセイバーメトリクスには目がないのでテンションが上がってしまいました。単なる数字の分析手法が、「マネーボール」を例に出すまでもなく、劇的な効果を高めるということそれ自体がドラマティックですよね。
もう一点は、舞台となる企業の社長と、その野球部の新監督とが「理論家の(苦闘しながらの)実践」という切り口から見るとパラレルであるということ。一方はコンサルタントから経営者へ、一方は大学で専門的にスポーツ統計学を学ぶ学究の徒から野球部監督への転身。普通であれば、熱血漢がストーリーを動かす方が劇的に描きやすいと思うのですが、ある意味クールにこの二人がもがきながら奮闘する様が描かれていることでかえってストーリーに深みを与えているように感じました。
ちなみに、息子が好きだということで親バカの重ね塗りで池井戸潤さんのサイン会に参加してしまいました!
感激の為書き入り!息子よ、人生初のサイン本だ。大切にしてくれ。